アラファト議長の容態に関する裏事情 | 軍事作家 橋本 純の反戦ブログ

アラファト議長の容態に関する裏事情

昨夜、イスラエル国営放送が死亡説を流した所為で、事態はさらに混乱を招いてしまっているが、これは無論、イスラエルによるパレスチナへの心理攻撃である。
プロパガンダを通じての、揺さぶりは放送網が出来てからは常に行われてきたことだから、当然といえば当然だ。
しかし、報道が公正でなければならないという信念は、倫理的背景からも万人が思い願うことであろう。
(現実は、どの国のメディアも独自の意見を持ち、視聴者、聴取者に判断を委ねるようなことは無い)
パレスチナにおける最大の悲劇は、アラファトの後継者を早期に見出すことが出来なかったことにある。
カリスマが、これを妨げたともいえるが、とにかく平和を阻害した要因の一つに、アラファトに権力が集中してしまったという現実があることも見逃してはならない。
イスラエルの行っていることは、蛮行と断じていいが、これにテロで対抗する(確かにそれしか手段の無いのは認める。だが、それが真に正しい選択なのか?)パレスチナの市井の基礎を築いたのは、アラファトに他ならない。
私は、出きるだけ、偏向の無い情勢分析を心掛けたいが、どこかに価値観の偏りがあることは、正直認めざるを得ない。
アラファト氏が死去した場合、イスラエル=アメリカは、どういう政策をパレスチナにとるか、それこそが、真の中東利権の模索の具現化だとだけは指摘する。
地中海方面における試掘権問題は60年間フリーズしていることを、日本人はあまりに無関心であることも、事態の深刻さの認識欠如に繋がっていよう。
もう、一般人の死を、「戦争地域でない筈の場所」で見るのはたくさんだ。
ブッシュが再選された事で、何も変わらない中東が四年間続く。
絶望に沈んだ人間がどれだけ多いかを、日本人も想像するべきであろう。