上官の指示 | 軍事作家 橋本 純の反戦ブログ

上官の指示

旧日本軍における(いや当時の多くの軍隊において)命令服従は当然であり、一般兵士に指示に逆らうことは、地位の喪失、犯罪行為でした。
このような状況において行われた戦争犯罪で、実行者を主に罰するのは倫理的に抵抗を感じます。指揮者こそが犯罪者に他ならないのですからね。
しかし、無抵抗の合意と言う、裁判論理は今も判例主義の中に生きています。
アメリカは、かつて反逆もまた倫理に反する行為なら容認する、と言ったハリウッド映画を垂れ流ししましたね。
そのアメリカは、勝てば官軍で、戦争犯罪者を大量生産しています。
捕虜虐待なんて、氷山の一角ですが、それ以上に腹立たしいのが、太平洋戦争期と朝鮮戦争(最近ようやく、アメリカも紛争ではなく戦争と認めてきてますね、ベトナムはまだ紛争だと言い張ってますが)における自国の戦争犯罪については、殆ど目をつぶっています。
オーストラリアが10年程前、自国のパイロットが第二次世界大戦で国際法違反を犯した(脱出した貨物船乗員に銃撃した、当時のフィルムが決定的証拠になった)として有罪判決を出しましたが、これはむしろ、日本に対する圧力的な意味があったことは、当時日本のマスコミは報道しませんでしたね。
日本が、中国大陸で行った多くの蛮行に対し、国民党政府(現在の台湾)が、金品による見逃しを行ったりしたと言う、忌まわしい事実などもあり、確かにまだ追求すべきことは多いと思います。
しかし、真の犯罪者たるべき指揮官の殆どが鬼籍に入ってしまった今、個人の罪を問うのはナンセンスであり、当時の社会体制を悪と断定し、戦争に傾倒した日本人そのものを反省すべきじゃないかと個人的には考えておる次第です。