天皇のサイパン慰霊訪問に関して | 軍事作家 橋本 純の反戦ブログ

天皇のサイパン慰霊訪問に関して

かつてあの島で、多くの日本人が働き暮らしていたことを、今どれだけの人間が認知しているか知らない。

旧国連によって委託領となったサイパンは、日本人には今でも馴染みの深い島だ。なにしろ海が美しい。そのため、海底に沈む日本軍の潜水艦や米軍の舟艇などが海上から見える。

この島の攻防戦は、太平洋戦争においては絶対国防圏の一角であっただけに、結果的にその失陥(これは軍の玉砕を意味するが、同時にあまたの日本人民間人も最期を供にしたことを意味する)は、東條政権を崩壊させ、意味の無い繋戦を招いた。

広島と長崎に落ちた原爆は、このマリアナから飛び立ったことも忘れないで欲しい。

このときの戦いは沖縄と同じような意味があるのに、あまり語られることが少ない。

米国が早期に歓迎の意を表明したのは、現在の外交においての日本に対するパートナーシップの表意でしかない。

どうか、象徴天皇とはいえ、小泉政権の右傾化の後押しになるような形での訪問にならないで欲しい。

兵士だけでなく、バンザイクリフから自ら身を投げた民間人に、深い深い哀悼をささげて来て欲しい。