斎藤さんの殉職に関して述べるべきこと | 軍事作家 橋本 純の反戦ブログ

斎藤さんの殉職に関して述べるべきこと

http://www.asahi.com/national/update/0528/TKY200505280106.html?t


傭兵は職業です。それも、実に古い職業です。アッシリアには、すでに傭兵が存在していました。当然、文字解読の進んでいないほかの文明でも、その存在を否定する要素はありません。

戦争とは最も原始的な政治の解決手段である。

有名な言葉ですね。しかし、紛争ですらない、内戦ですらない状況(アメリカの主張を信じるならという注釈をつけます)において、なにゆえに戦死者が出なければならないのでしょう。

誰が見ても、イラクは現在内戦、いやアメリカとの侵略戦争の渦中にあると指摘できます。

しかし、政治的外交的には、そこに戦争は存在していないのです。

思い出してください。アメリカは、クリントン政権になるまで、ベトナムで戦争を行っていなかったと公式に主張していたのですよ。

あれは、軍事支援であり、米軍は戦闘には参加しているが戦争の当事国で無いと言い切ったリンドン・ジョンソンは、今ではジョン・フィッツジェラルド・ケネディを暗殺した黒幕ではないかとまで言われています。

傭兵を職業として否定はしません。しかし、それを企業化させたイギリス人には立腹しています。

そして、結果的にシオニストの犬といわれて死んだ日本人がイラクにいる。それは、あなた方の会社の社員だった人間なのです。

斎藤さんは、ヘブライ語にもユダヤ教にも無縁だったでしょう。しかし、もはや国家と結託した企業は、その社員までもが、出自に関係なく反政府派のイラク人には侵略者であり、ダビデの星を背負った非人間なのです。

彼の死をいたむのは当然です。

しかし同時に、現在のイラクをもっと真剣に見つめてください。

今の政府の状況である限り、テロは終わりません。

アメリカ軍がいる限り、テロは止まりません。

斎藤さんは、職務で殉職しました。しかし、毎日のように一般人が、テロで死んでいるのです。

中東だけじゃない。

先日のスペインの爆破事件、どれだけの人間が詳細を知っていますか?

スペインの独立運動組織やイスラム過激派がどれだけいるのか知っていますか?

今は情報があふれすぎていて、本当に必要な情報が見つからないような世界です。

ミンダナオ島が、渡航勧告地域であることを知っていましたか?

セブ島でさえ、危険度が示唆されているのですよ。(それも米軍がいた30年以上前から)

日本の平和な状況だけを見て、物事を判断しないでください。

脱線事故は痛ましい。殺人事件は憂慮すべきほど増えている。しかし、もっとマクロな視点で日本と世界を見て欲しいんです。

それこそが、斎藤さんの死という現実を考えるのに必要なスタンスだと私は信じます。